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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹
2つの物語が交互に進みます。

「世界の終り」は「外の世界」から「街」に入ってきた主人公が自分が何者でなぜここにいるのかを模索し、記憶から消し去られた「本来の世界」を求めるもの。

「ハードボイルド・ワンダーランド」は情報戦争の社会で歯車として働く主人公が博士からの依頼に関わることで内面に変化を引き起こし現実の世界とは違う別の世界を意識が形成していく。

現実の不完全な世界を否定して完成された世界を求める。
完全な世界を内側に構築して自分の意志と反して肉体から離れて永遠の世界に埋没する。

物語の展開は主人公が意識しないうちに組織(国家?)の計画に組み込まれて人体実験のサンプルになる。
組織のプロジェクトとは本来はセキュリティのシステムを高度化するのが目的。
完全なるデータの暗号化を実現するために人間の深層意識をブラックボックスとして利用する。
その技術の延長線上で新しい意識の世界の構築を実現してしまう。
完全な世界とは博士の意図したものではなく主人公の考える理想を具体化したものらしい。
博士は主人公にそこに行けば失われたものがすべて得られるという。
しかし「世界の終り」で主人公は完全な世界を経験してからそこに欠けているものを理解する。
主人公の分身?である影は「本来の世界」に帰っていくが主人公は自分の作り出したその完全で永遠な世界の中で答えを見つける決意をする。


1985年の作品であり情報戦争を舞台にしていますが枝葉末節の表現にコンピューターの具体的な操作は描かず主題の説明のみにとどめていることで時間の経過による陳腐化を避けている。
反面、抽象的な説明に終始していて理屈はともかく作者の本意はどこにあるのかが分かりにくい。
海辺のカフカもそうですが村上春樹は親切に説明をしない作家で解釈は読者に任せる人なのでちょっと困る。

「世界の終り」は世界そのものが限定された空間にある完成された世界。
「ハードボイルド・ワンダーランド」は現実世界ではあるが主人公は自分の所属している「組織」の全貌は理解していない。
ベタな解釈ですが俺は世の中を理解してるよって思ってる現代人に対するメッセージとも言える。
あなたは自由と思ってるけど違うんじゃないのと。

博士の研修所ややみくろ、計算士、記号士という演出によって内面の変革を自分の意志で行うのではなく第三者が組織の目的のために行うということで平易な表現で描くことに成功している。

現象は意識が作り出している、すべての世界は認識によって成立しているというテーマは本来哲学的、宗教的なものですが村上氏のように近未来の社会を舞台に限りなくSF的な描写で完結させてしまったのは作家の力技としか言いようがありません。


ただ物語は完結してはいないし読者としてはこの後の主人公の変化や成長を見たい。
できればバック・トゥー・ザ・フューチャーみたいに長い時間を経て博士が主人公を助ける方法を発見して救出に成功してハッピーエンド。
ついでに孫娘や図書館の彼女とよろしくやって続編で話のスケールがでっかくなるとマトリックスになってエージェント・スミスと対決みたいになっちゃうと面白い。


村上春樹が海外で支持される理由を考えましたが無国籍ってことでしょうか。
グローバルスタンダード。
渋谷陽一的にいうと産業ロック。
大前研一的には日米欧のトライアドをターゲットにしたスプリンクラーモデル。

舞台は東京ですがドバイでもムンバイでもイスタンブールでも構わない。
地下鉄があればですけど。


読んでて大学の文学ゼミを思い出しましたがレポートのテーマにすると解釈の自由度は高いので何でも書ける半面キリがなくなってレポート自体も長編小説になりそう。
ネットで読者のレビューを読んでるとこれを卒論にしてる人もいるみたいです。


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テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹
2つの物語が交互に進みます。

「世界の終り」は「外の世界」から「街」に入ってきた主人公が自分が何者でなぜここにいるのかを模索し、記憶から消し去られた「本来の世界」を求めるもの。

「ハードボイルド・ワンダーランド」は情報戦争の社会で歯車として働く主人公が博士からの依頼に関わることで内面に変化を引き起こし現実の世界とは違う別の世界を意識が形成していく。

現実の不完全な世界を否定して完成された世界を求める。
完全な世界を内側に構築して自分の意志と反して肉体から離れて永遠の世界に埋没する。

物語の展開は主人公が意識しないうちに組織(国家?)の計画に組み込まれて人体実験のサンプルになる。
組織のプロジェクトとは本来はセキュリティのシステムを高度化するのが目的。
完全なるデータの暗号化を実現するために人間の深層意識をブラックボックスとして利用する。
その技術の延長線上で新しい意識の世界の構築を実現してしまう。
完全な世界とは博士の意図したものではなく主人公の考える理想を具体化したものらしい。
博士は主人公にそこに行けば失われたものがすべて得られるという。
しかし「世界の終り」で主人公は完全な世界を経験してからそこに欠けているものを理解する。
主人公の分身?である影は「本来の世界」に帰っていくが主人公は自分の作り出したその完全で永遠な世界の中で答えを見つける決意をする。


1985年の作品であり情報戦争を舞台にしていますが枝葉末節の表現にコンピューターの具体的な操作は描かず主題の説明のみにとどめていることで時間の経過による陳腐化を避けている。
反面、抽象的な説明に終始していて理屈はともかく作者の本意はどこにあるのかが分かりにくい。
海辺のカフカもそうですが村上春樹は親切に説明をしない作家で解釈は読者に任せる人なのでちょっと困る。

「世界の終り」は世界そのものが限定された空間にある完成された世界。
「ハードボイルド・ワンダーランド」は現実世界ではあるが主人公は自分の所属している「組織」の全貌は理解していない。
ベタな解釈ですが俺は世の中を理解してるよって思ってる現代人に対するメッセージとも言える。
あなたは自由と思ってるけど違うんじゃないのと。

博士の研修所ややみくろ、計算士、記号士という演出によって内面の変革を自分の意志で行うのではなく第三者が組織の目的のために行うということで平易な表現で描くことに成功している。

現象は意識が作り出している、すべての世界は認識によって成立しているというテーマは本来哲学的、宗教的なものですが村上氏のように近未来の社会を舞台に限りなくSF的な描写で完結させてしまったのは作家の力技としか言いようがありません。


ただ物語は完結してはいないし読者としてはこの後の主人公の変化や成長を見たい。
できればバック・トゥー・ザ・フューチャーみたいに長い時間を経て博士が主人公を助ける方法を発見して救出に成功してハッピーエンド。
ついでに孫娘や図書館の彼女とよろしくやって続編で話のスケールがでっかくなるとマトリックスになってエージェント・スミスと対決みたいになっちゃうと面白い。

・・・・発想がハリウッド的過ぎますか。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

『天使の卵』 10月21日(土)公開
http://www.tentama.jp/





天使の卵―エンジェルス・エッグ



天使の卵(エンジェルス・エッグ)

テーマ:映画ニュース - ジャンル:映画

キャッチャー・イン・ザ・ライ
キャッチャー・イン・ザ・ライ

「ライ麦畑でつかまえて」の村上春樹翻訳版。

特に書評は必要ないでしょうしもったいぶって深読みしてレバレッジを効かせた表現で文学的に持ち上げることもできますが今回はパス。

誰に向けて書いてるのかと言えばコールフィールドと同じ世代の連中とも言えるし、反抗の対象となる大人の世界とも言えるし。
全編通して彼の置かれてる環境はそれほど悪くない、というか恵まれてると言えるんじゃないだろうか。
多少ケンカはするかも知らんが自宅に呼んで説教してくれる先生はいるし呼べば会いに来て話を聞いてくれる友人もいる。
妹だって説教してくれて小遣いまで貸してくれる。
時代が古いせいかそれほど危機的状況とは言えません。
現在のニートや不登校、いじめ、薬物汚染を描いたらこんな甘いもんじゃない。

・・・なーーんてことを言うと「インチキ臭い説教しやがって馬鹿野郎」って言うんでしょうね。
ただコールフィールドは自覚があってやんちゃしてるだけだろうから「勝手にしやがれ」です。

村上春樹のノルウェイの森はもう少し年が上の大学生の頃の心情を描いてますが作品としてはノルウェイの方がいいと思います。

文章表現の部分は確かに英文でしか味わえないところもあると思いますのでそこのところは何とも言えません。
まあそのうちにということで。

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JAF MATE 200605
今月のJAF MATE

JAF MATE 200605


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